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うたあわせプロジェクト Vol.04 第50首 藤原義孝【後拾遺集】

こんにちは、おもいびとのやよいです!


第50首 藤原義孝(ふじわらのよしたか)954~974【後拾遺集】


君がため 惜しからざりし 命さへ ながくもがなと 思ひけるかな


今回はこちらの歌や作者の解説、イラストの制作の様子をお届けします。






【歌の意味】

あなたのためなら、捨てても惜しくはないと思っていた命でさえ、逢瀬を遂げた今となっては、(あなたと逢うために)できるだけ長くありたいと思うようになりました。

恋しい女性のもとに逢瀬に出かけて一夜を過ごし、帰った後に一首したためて贈った歌で、こうした歌のことを「後朝(きぬぎぬ)の歌」といいます。恋の願いが叶った後に、自分の心境が大きく変わり、生きることへの喜びが生まれたことに気が付く歌です。


【作者の解説】

謙徳公伊尹(けんとくこうこれただ)の三男で、18歳で正五位下・右少将になりました。「末の世にもさるべき人や出でおはしましがたからむ(今後もこのような人は現れないだろう)」と言われるほどの美男で人柄も良かったのですが、痘瘡(天然痘)にかかってわずか21歳の若さで死去しました。



作者のピュアな恋心に思いを馳せながら制作しました。

全体をパステル調でカラフルに着彩し、瑞々しく、でもどこか儚げな印象が生まれるよう意識しました。


この歌は「死」と「生」とが共存していて、相手のためなら死んでしまっても構わないと考えていた作者が、相手の女性のために長く生きたいと心変わりしています。

そこで、長寿に関わるものを調べてみたところ、

意外にも蝶が生死や寿命に関する象徴とされているということがわかりました。

蝶は、サナギから脱皮して美しい翅(はね)をもつ蝶が飛び立つことから、死後、からだから抜け出した魂を極楽浄土に運んでくれるとする、輪廻転生の象徴なのだそうです。



若くして亡くなってしまった作者が、死後も極楽浄土で幸せで過ごせているようにと願いを込めて。




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